予定調和に抗う能力

こんにちは
BASEBALL FUTURE
(ベースボールフューチャー)です。
予定調和という言葉を知っていますか?

予定調和とは、ドイツの哲学者が唱えた原理の一つで、物事の結果はあらかじめ神によって定められているといった意味になります。普段は「予想通りの結果」という意味で使われます。

野球で言えば優勝候補が予想通りの優勝を納めたり、活躍するべき選手が予想通りの結果を残したりすることが予定調和だと思います。優勝候補のチームや、活躍が期待されている選手にとっては、その期待が予定調和となって終わることが望ましいかもしれません。

しかし野球はそうしたチームや選手ためばかりのものではありません。
打倒優勝候補を掲げるチームや、虎視眈々とレギュラーを狙い、一気に活躍したいと考える選手にとっては、この予定調和に抗い覆すことが目標となることでしょう。

予定調和に抗い、覆そうとするプレーはとても大切です。
例えば誰もが「こうするだろう」と思っているところで、予想外のプレーでアウトを取れるのは、良い意味で予想を覆すものです。攻撃でも同様の意味でチャンスメイクでき、予定調和を崩すことができる選手は、監督からしてみれば良い意味で期待を裏切ってくれる選手です。これらのプレーを期待し、チャンスを与えたくなり、出場機会も増えるでしょう。

また相手からみれば、何をしてくるか分からない非常に厄介な選手ということになります。
予定調和を崩し、チームから一目置かれ、相手からの警戒を得るためには2つの条件があります。

1つ目は
予定調和を知っておくことです。
まず予想外のプレーをするためには、予想通りのプレーを知っておくことが必要です。
普通ならこうするということが分かっているからこそ、違う行動を取ったときに驚きがあるものです。

2つ目は
予定調和を崩すための準備です。
準備なくして予想外のプレーはできません。準備なしに成功したとしても、まぐれに等しいものです。
まぐれでの成功は続くものではないので、準備はかかせません。

周りから見るものにとっては予想外のプレーであっても、自分にとっては予定内のプレーにしておきましょう。
予定調和を崩した例を一つ紹介します。

中日、巨人で活躍した井端選手は、守備の名手として知られていましたが、バッターとしては1,2塁間を抜く打球やライト前にしぶとく落とす流し打ちで知られていました。
特にランナーがいる状況では、ランナーの後ろ側に打球を打てばランナーを次の塁へ進めやすいため、ほぼ100%と言っていいほど
逆方向へ打球を飛ばしていました。

そのことは本人だけではなく味方も相手バッテリーも、もしかしたら球場にいる全ての人が分かっていたかもしれません。
しかしある日、井端選手はこの予定調和を崩しました。

同じような1死ランナー1塁のケースでいつもなら流し打ちをする場面。
相手からすればランナーを進められてさらに1,3塁となることを避けたいため、井端選手の流し打ちを封じるためにインコースをせめると決めました。

しかし、井端選手はこの場面、インコース攻めを読み切り、思いっきり引っ張るバッティングを見せたそうです。
こうしたプレーを一度でもされると、相手ばとても嫌なものです。

このスイングを見せたことで、結果的にこの後も同じような場面でバッテリーの頭に「引っ張りもある」と刻まれてしまったため、インコースにも投げづらくなり、アウトコースへのボールが増え、流し打ちがしやすくなったようです。

もちろんこうした予定調和を崩す引っ張りをする裏には、しっかりと強引にでも引っ張りに行くバッティングを練習で行なっていたのだと思います。このように普通ならこうするという予定調和を知り、その上で予定調和を崩す準備をすることで相手にとって大きなダメージを与え、苦手意識を植え付けることができます。

またこうしたプレーをできる選手は、味方からすれば頼もしく監督としても欠かせない戦力となることでしょう。
野球には様々な場面で予定調和があります。

まずは予想通りのプレーを理解し、さらにそれを覆すプレーをして、他の選手との差を作り出しましょう。

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