仙台育英VS慶應義塾 甲子園決勝戦

こんにちは
BASEBALLFUTUREの
依田徹平です。

新時代の到来を告げる令和最高のカード

2023年の夏の高校野球が昨日幕を閉じました。
個人的には仙台育英も慶應義塾も素晴らしい野球をしているということは知っていたので決勝のカードがこの2校というだけでも嬉しく日本の野球界が変わってきているなと感じました。

仙台育英

仙台育英は秀光中の監督時代から須江監督に注目をしており、高校の監督になったことでさらに注目をしていましたが、その期待通り東北勢初の優勝を昨年成し遂げました。仙台育英といえば今や徹底したデータ活用が強みということは知られていますが、それだけではなく選手一人一人の人間性や須江監督が掲げるビジョンがあってこそ重たい扉をこじ開けることができたのだと思います。

慶應義塾

慶應義塾といえば「enjoyベースボール」と騒がれていますが、これは今に始まったことではなく前任の上田誠監督の時代からも掲げられていました。もちろん当時も髪型は坊主ではなく新しい野球を常に求めていた印象があります。実はそんなスタイルに私も憧れ中学時代に慶應義塾野球部を目指しましたが、勉強がたりず結果的に法政一高を選ぶこととなりました。

私はそのまま大学進学後に法政大学野球部に入部し、同じ六大学リーグとして慶應義塾とも戦うことになりましたが法政でしか味わえない経験や出会いがたくさんありそれはそれで良かったと思います。

そんな縁もあり、慶應義塾のスタイルには昔から憧れがありまた慶應の六大学野球そのままの応援の懐かしさもあり陰ながら応援をしていましたが、ついに決勝進出となったことで最近の中では一番楽しみな決勝戦となりました。

点差よりも接戦の試合

結果は慶應が8-2で107年振りの優勝となりましたが、点差ほどの実力差はなかったように思います。

この試合のポイントとなった点はいくつかあります。
まず1つ目は慶應の丸田選手の先頭打者ホームラン
これは高校野球の歴史に残るシーンだと思います。これだけ注目される決勝でさらに注目をされてきた看板選手が期待以上の一発
今年から解禁となった声出し応援が甲子園の熱をより一層高めその活躍を際立たせてくれました。

今年の夏から高校野球を見始めたという人やこれから野球を始める子供達にこれ以上ないほどに野球の魅力を伝えてくれました。

2つ目は3-2と仙台育英追い上げムードとなった4回裏のランナー2塁の場面
三塁線への際どい判定がファール判定となりました。これが入っていれば同点となり正直試合は分からなかったと思います。このバッターはエラーにより出塁をしましたが、慶應の守備はその後をよく踏ん張ったと思います。

3つ目はその直後の5回表の慶應の攻撃
仙台育英の分厚い投手陣の柱であるエース高橋投手がリリーフするも2本のタイムリーを浴びリードを3点に広げられたあとのシーン
左中間に飛んだ飛球をセンターとレフトが交錯し落球しその後に3点が入ってしまいました。5回で3点差なら充分ひっくり返すことができますが、6点差は仙台育英にとって大きくのしかかってしまいました。

一見簡単なフライに思えますがあの空気感の中、自分が同じ立場なら絶対にミスをしないとは言い切れません。
慶應の声援で声かけができなかったという的外れな批判もあります。

しかしそうした批判は仙台育英にも失礼。矛盾しているかもしれませんが応援のお陰で勝てることはあっても応援のせいで負けることはありません。

マナーがという声もありますが、ブーイングをしたり守備を意図的に邪魔したわけではありません。一球一球に歓声が上がるのは当たり前でむしろあれだけ盛り上がれるのが日本野球の良さだと思います。

WBC東京ラウンドであれだけ360°日本の応援で盛り上がっておいて突然マナーが悪いと言い出すのもどうかと思いますが、、、

 

またそうした大声援で声が聞こえなくなることは甲子園に出る高校は織り込み済みのはず。もちろん慶應の応援は想像以上の声援の圧があったことは事実でしょう。ですがコロナ禍からやっと脱却し「#声出してこー」と始まった今年の甲子園をこれ以上ない形で盛り上げてくれたと思っていますし日本における野球の熱がまだまだこれからも続くことを100年以上の歴史がある慶應の野球部と応援団が改めて教えてくれたような気がします。

実際に落球をしてしまったシーンを確認すると捕る前はそれほど大きな声は上がっていません。落とした後はさすがに歓声が上がっていましたが。

どうやってあの落球を防ぐか?

技術的なことを話すとあのケースはある程度余裕があるフライなので私なら一度ボールから目を離し周りを見渡します。
その理由は
①障害物が周りにないか
ベースやフェンス際の時は周辺を一瞬確認し問題がないか確認をします

②他の野手がボールを見えているか
自分の打球ではなくても味方野手が太陽が被ったり、ボールを見失ったりしているケースがあります。ボールだけを目で追っていると分からないので打球から一瞬目を切り周りの野手の動きを見ます。この時に怪しい動きをしていればすぐさまカバーに入り時にはそのまま自分が捕ることもあります。

実際私は二塁手でしたがファーストフライが上がった時一塁手を見て太陽を片手で隠す動きをしているのを見てボールが見えていないことに気がつきファーストまでいきボールを捕球したことがあります。

このシーンもショートフライが上がった後、セカンドの藤村選手が坂本の動きを確認し異変に気づきカバーに入っています↓

③他の野手が捕りに来ていないか
他の野手が猛スピードで突っ込んでくる場合は自分が落下点に入っていてもボールを譲ることがあります。その野手がカバーに入る動きであればそのまま自分がキャッチしますし、相手も周りを見てくれる選手の場合はアイコンタクトやジェスチャーである程度どちらが捕球するかを声なしでも明確にすることができます。

ただし、ギリギリ追いつくかどうかの打球の場合はその余裕がない時があるのでプロでも交錯してしまうケースはあります。しかしギリギリでも野手の間の打球の場合は重大な怪我につながるリスクがあるので視野を広く持つ必要があると思います。

確かに声援で声が聞こえなかったかもしれません、しかしそうしたことを言い訳にするチームが2年連続で決勝には進めないと思います。実際仙台育英の須江監督はそのシーンの話題を振られても声援のせいだという言い訳は一切しませんでした。

たかだかネットの声ですが応援を批判する声があったことだけが非常に残念です。どうか両チームの応援をしていた学生や関係者の方は甲子園で最高の応援をしたと胸を張ってもらいたいと思います。

これからの高校野球

伝統と科学が融合した両校の野球はとても素晴らしいものがありました。

仙台育英は昨年初優勝したことで立場が変わりました。
慶應も今年は107年ぶりの優勝を成し遂げまた来年からは立場が変わります。

それによって観客の応援や周りの見方も変わってくるので同じことをしていても連覇は難しいかもしれません。しかしそれさえも乗り越えて新しい時代を築いてくれそうな両校なので今後は慶應や仙台育英の野球を目指す野球部が増えてくると思います。また新たな角度から挑戦をするチームもあることでしょう。

審判のジャッジ、酷暑、低反発バットなど様々な話題がありますがより良い方向に少しずつ進んでいると思うのでこれからも高校野球が盛り上がることを期待しています。

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