大人数を抱えるチームの育成法

こんにちは
BASEBALLFUTUREの
依田徹平です。

近年は野球人口の減少が問題となっていますが、東京の現場でチーム事情を観察していると中学生の場合は部活動は減っていきているようですが、逆にクラブチームはチーム数が増えている印象があります。またその中でもチームの部員数が多いチームと少ないチームがはっきりと二極化しているのが現状です。

人数が少ないチームは1学年で9人が揃わないところもありますが、人数が多いチームでは1学年50名以上を抱えるチームもあるほどです。50名とは行かないまでも30名近い選手を抱えているチームも多く3学年が集まれば結構な大所帯となります。様々なチーム事情があるので人数が集まらないチームに魅力がないとまでは言えませんが、選手が集まるチームにはそれなりの理由があります。

その理由を考えた時、まず第一に強さが挙げられます。やはりここ2~3年の実績を見て良い結果を出しているチームには人が集まります。そして強いチームにで戦いたいという意識の高い選手たちがたくさん集まったチームはまた数年良い結果が続くことでしょう。

しかし、ここで知っておかなければいけないポイントは入部した50名全員が試合に出れるわけではないということです。野球は当然9名しか試合に出場することはできず、残りはベンチから途中出場、それ以外の多くの選手はベンチにも入ることができないのです。

このような状況は強豪チームではよくあることです。しかし、この状況でどのように育成を行っていくかはチームの方針によって大きく異なります。

  1. 良いと思う選手だけを使い続ける勝利主義
  2. チャンスを均等に与えるバランス主義
  3. 一定の評価基準のもと選手を評価しチャンスを与え勝利も目指すデータ主義

勝利主義

まず1番多く見られるのが勝利主義です。野球は勝敗を争う競技なので勝つために上手い選手が出るのは当たり前のことです。全国制覇など勝利を目指しているチームであれば下手な選手を出していれば逆に選手からも不満が出てしまうでしょう。集まった選手の中から、指導者の主観的な評価で良い選手を起用し、勝利を収めることでまた良い選手が集まってくるので勝ち続けることがチームにとって一番の好循環となります。選ばれなかった選手は次の大会で選ばれるように努力を行い、今回選ばれた選手もレギュラーを奪われないように努力をします。この激しいチーム内競争が強さの根底にはあることでしょう。

ですが、あまりにも主観で決め過ぎてしまう傾向が強いと、なかなか均等にチャンスを与えてあげることができず、選手の評価にばらつきが出てしまうこともよくあります。本当はBの選手の方がAの選手よりも実力が上になっているにも関わらず入部当初の印象と経験値の差でAの選手を使い続けてしまうのです。

チャンスが少なく自分のことが正当に評価されていないなと感じる選手が多くいたとしても、チームとして勝ち続けていれば一見問題はないのですが、長い目で全ての選手の将来を考えるのであれば、一つの才能を潰しかねないので注意が必要です。

バランス主義

バランス主義の特徴はそのまま選手にある程度均等なチャンスを与える傾向にあります。人数が多いことを生かしてA・Bチームなど1学年で2チームを均等な戦力で作り大会に望みます。また練習試合も多く組み全ての選手に打席機会や登板機会を与えて選手の育成を行なっていきます。戦力を均等に分けることで勝ちづらさはありますが、将来を見据えると選手一人一人に目を向けられるのでチームに対する満足度は高いでしょう。また実際このようなことを実践できるチームは均等に2チームを分けたとしてもある程度勝ち進んでしまいます。

自分の定位置が与えられることで競争が弱まるリスクもありますが、上のレベルで戦う気持ちがある選手は現状に甘んじず努力をすることができるので問題はありません。逆に甘えが出てしまう選手は勝利主義のチームで激しい競争の中に揉まれるのもありでしょう。

データ主義

これからの時代で最も目指すべきスタイルは個人的にこのデータ主義だと思っています。まず選手に対して主観的な評価ではなく一定の評価基準を設けます。

例えば身体能力

・走力
・球速
・打球速度
・柔軟性

これらは定期的な測定会を行うことで実現可能です。

さらには身体能力だけでは測ることができない試合での結果

・打率
・OPS
・盗塁数
・守備率
・防御率
・三振率
・四死球率
・WHIP

これらを信頼できるデータとして扱うにはある程度の試合数が必要です。紅白戦や練習試合を数多くこなし、均等にチャンスを与えることで選手の傾向が見えてくることでしょう。このようなステップを踏み集まったデータをもとに選手を選抜していきます。

こうすることでチームとしても信頼できる選手を起用することができます。また選ばれなかった選手も主観ではなく客観的評価のもとで選ばれなかったことが数字としてはっきりと理解できるので納得がしやすく、自分に不足していた部分もはっきりと数字に表れるので今後の努力の方向性も明確になります。

「球速が足りていなければ球速UP」
「走力が足りていなければ走力」
「飛距離が足りていなければ飛距離UP」

それぞれの課題をクリアできるように指導者が寄り添ってあげることができればチームに対する満足度は高くなることでしょう。

この方法にデメリットがあるとすれば試合での結果に大きく左右されることです。試合で結果を残した選手が使われるのは当然ですが、その期間にコンディションが悪いこともあり得ます。特にバッティングは水ものと言われ不調が長引くこともあるでしょう。

なのでリーダーシップをとってくれる選手や身体能力の測定で高い数値を示している選手であれば、ある程度指導者の裁量でそうした選手を起用することは必要となるでしょう。リーダーシップはどうしても主観になってしまいますが、指導者からみてリーダーシップが取れる選手はチーム内でも信頼されているので不満も出ないことでしょう。測定で高い結果を出す選手もデータを使った上での起用なのでそれほど不満が出ることはありません。

しっかりとした基準を設けて選手起用をすることはただ漠然とした練習をさせるよりも選手の練習に対する目的意識を高めることにもつながるので選手育成にも有効です。またデータを取るために試合でのチャンスを均等に与えることができることもチームの全選手にとってプラスに働きます。

このような育成法やチーム運営を行うにはスタッフの人数やデータを扱える人間が重要となります。さらに練習試合や紅白戦を多く組む必要があるのでホームグラウンドがないチームにとっては難しいかもしれませんが、ぜひできる範囲で実現をして欲しいと思います。

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