高校野球新基準バットは2024年より 〜メリットとデメリット〜

こんにちは
BASEBALL FUTUREの
依田徹平です。

これから高校野球を目指す中学生や小学生または現在高校1年生の現役野球部員の方にとって大きなニュースがありました。それは2024年シーズンから高校野球で使用できる金属バットの基準が変更となり従来の金属バットよりも「低反発」かつ「細い」バットになるということです。その目的とは?

目的

①投手の安全性を確保

まず一つ目の目的は投手の安全性の確保です。近年打撃技術が向上してきたことで打球速度も上がってきたように思います。それに伴いピッチャーライナーなどが投手の顔面にぶつかるという事故も少なからず発生しているようです。投手から打者までの距離は18.44mではありますが、実際に投球モーションを行った後ではその距離は15~16mくらいになっており、その距離を鍛えられたバッターの130km/hを超える打球が向かってくるとなれば確かに危険です。そのスピードが新基準のバットになることで少しでも遅くなれば投手が反応できる時間も増えるので捕球もしくは避けられる可能性が上がることでしょう。また万が一当たってしまった場合も打球スピードが落ちることで衝撃が少しでも和らぐのであれば対応せざるを得ないと思います。

②打高低投からの投手の負担軽減

プロ野球界では投手のレベルが上がり160km/hも珍しくなくなり、今シーズンは佐々木朗希投手の完全試合を始めとしてノーヒットノーランが数多く達成されており、3割を打つのが難しい状況で近い将来「3割バッターがいなくなるのでは?」という声まであがっていますが、近年の高校野球の打者と投手の力関係を考えるとやや打者が強い打高低投が長く続いています。この状況が長く続けば投手の球数も必然的に増えていき投手の故障リスクが高くなっていきます。このバランスを整えることが低反発バットには期待されています。

どれくらい飛ばなくなるのか?

では実際のところ新基準のバットはどれくらい飛ばなくなるのでしょうか?実際に行われた実験によると木製バットと今までの金属バットで飛距離を比べると20mくらい金属バットの方が飛ぶ傾向にあったようですが、新基準のバットではそれが10mかそれ以下の差になったようです。つまり単純計算で10mくらいは飛距離が短くなるということです。またバットの最大直径は67ミリから64ミリに変更されます。以前もバットの最大直径を70ミリから67ミリに変更されたことがありましたが、その時も2,3年の間はホームランが激減したようなのでこの基準変更によりホームランは以前に比べて出づらくなることでしょう。

打者にとってのメリットは

ここまでの投手にとってのメリットは打者にとってのデメリットと言えます。では打者にとってメリットはあるのでしょうか?
あえてメリットを挙げるとするなら打者の技術力の向上です。低反発バットになることでホームラン数が少なくなることは間違いありません。しかしバットの性能が落ちてもその分打者の技術が高くなればホームランは生まれます。特に今回の大半な変更は金属バットと木製バットの差がほとんどなくなる程の変更です。この変更を逆手にとり木製バットを使うようになる大学や社会人野球、そしてプロ野球を見据えて低反発バットで技術を高めると思えば、いざ木製バットに変わった時に対応がしやすくなるはずです。

実際高校野球の金属バットではホームランバッターだった選手が大学やプロ野球で全く通用しないという例がよくあります。また高校生でも世界大会は木製バットを使います。この問題を解決するためのバット変更だと思えば先を見据える打者にとっては技術を磨く良い機会と言えるでしょう。

バット

高校生と1学年しか変わらないプロに入ったばかりの高卒ルーキーや大学1年生の選手も木製バットに変わることで苦戦は強いられますがホームランを打つことは珍しくはありません。そう考えれば全くホームランがなくなってしまうということはないと思います。

実際に私も高校時代はほとんど金属バットで練習をしていましたが、当時はあまり飛距離が伸びませんでした。しかし大学で木製バットを使うようになり木製バットで飛距離を出せるように試行錯誤していった結果3年生ごろから飛距離が出るようになり、金属バットを使っていた時よりも強く遠くに打てるようになっていました。体格的にはそれほど変化はなかったのでこれは間違いなく打撃技術の進歩です。私の野球人生の中でも木製バットを使ったこの期間が最も飛距離が伸びた時期だと思うのでそのメリットは大きいと思います。

ホームラン記録の更新

ただし現日本ハムの清宮選手が打ち立てた高校通算ホームラン記録111本を今後抜くのが難しくなったことは間違いありません。更新を狙えるとしたら現在高校通算70本塁打以上を放っている花巻東高校2年生の怪物、佐々木麟太郎選手の他にいないと思います。基準が変わる最後にこのような選手が現れたのも偶然ではないと思うのでぜひ更新を目指してほしいと思います。

この新基準によりホームラン数が激減すれば旧基準でのホームラン記録と新基準でのホームラン記録は分けて言われるようになるかもしれませんね。これから新基準のバットで高校野球に挑むことになる選手のあなたは今から新基準でもホームランが量産できるように技術を磨いておきましょう。

 

 

 

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