少年野球における敬遠
こんにちは
BASEBALL FUTURE
(ベースボールフューチャー)です。
ここ数年MLBやNPBにおいて申告敬遠が導入され、少年野球でも申告敬遠が採用されるようになりました。
これにより今までの敬遠とは違い、投球をする必要がなくなったので、敬遠がしやすくなりました。
敬遠を選択する意図は、主に二種類あると思います。
まず一つ目は、
どうしても打たせてはいけない強打者をピンチで迎えた時、
もう一つは、打者とはあまり関係なく、敬遠によりランナーを増やすことによるリスクをとってでも、塁を埋めてフォースプレーを
しやすくするためです。
ですが昔高校野球ではこの二つに当てはまらない敬遠がありました。
それは有名な松井秀喜さんの甲子園での5打席連続敬遠です。
強打者なのでピンチであれば勝負を避けるのは当然ですが、ランナーがいない状況でも勝負をしなかったのは、なかなかできない作戦です。
しかし、結果的に敬遠策をとったチームが勝ったので、この作戦は成功であり、勝負に徹する必要がある高校野球においては、なしではないと思います。
まだまだ体格的にも技術的にも発展途上の少年野球においては、どうでしょうか?
以前個人レッスンをしている選手のチームの試合を観戦する機会がありました。
その選手は5年生ながら6年生の試合に出場し、主軸を打っています。
体格も大きい方で、スイングも鋭いことから、その地区では以前から警戒されているバッターではあったのですが、なんと観戦した試合では4打席全てで敬遠をされてしまったのです。
しかも塁が埋まっていない場面はもちろんのこと、ランナーがいない場面でも、さらには満塁の場面でも敬遠をしてきたのです。
少年野球でも敬遠をすることは、将来の勝負の中でどのような場面で敬遠をすべきかを知っておく上でも、悪くはないと思います。
しかし、まだ育成の段階にある小学生に、このようにあからさまな敬遠策をとってしまうことは、疑問が残ります。
まず一つは敬遠をされたバッターの打席機会を奪ってしまうことです。
チームとしては塁に出れれば良いことですが、やはり小学生としては楽しい野球をするのに、一回もスイングができなければつまらないでしょう。
特にたくさん練習をして試合に臨んでいる選手にとっては、なんのために練習をしているのかわからなくなってしまうでしょう。
中学生や高校生であれば、ある程度考えもしっかりしてくるので、割り切れるかもしれませんが、小学生にそれを求めるのは難しいでしょう。
打席経験を積むことで将来もっと良い選手になれる可能性があるのに、それを潰してしまうことになりかねません。
また対戦したピッチャーにとっても、良いことはありません。
おそらく敬遠の指示を出しているのは、監督やコーチです。小学生が自ら敬遠を選ぶことはないでしょう。
もちろんピンチの場面であれば別ですが、ランナーがいない場面や満塁の場面で敬遠をさせることは、
「お前じゃそのバッターを絶対に打ち取れない」
と言われているのと同じことです。
勝負を考えれば「あり」かもしれませんが、育成を考えれば明らかに「なし」でしょう。
本来であれば少年野球は楽しく正々堂々と勝負をして、打たれてしまえば打たれないように工夫や努力をし、相手との勝負を楽しみながら成長を促すことが目的であるはずです。
それを大人のエゴで潰してしまい、敬遠をしたピッチャーに何が残るのでしょうか?
何度も言いますが小学生の敬遠がダメというわけではありません。
あくまでも状況に応じた作戦上の敬遠は私も良いと思います。
しかしながらランナーなしや満塁など勝負をしなければいけない場面では、打たれても良いので勝負をしてほしいと思います。
それによりバッターは打席機会を与えられて練習の成果を試すことができ、ピッチャーも良い打者と対戦する経験を積むことができるのです。打たれたとしても、その悔しさが練習への原動力となることでしょう。
ピッチャーの心理からしても、一度でいいからプロ野球選手と真剣勝負をしてみたいと考えたことはないでしょうか?
それと同じように、小学生であっても良いバッターとの勝負は楽しみなものだと思います。
もちろん監督やコーチの勝たせてあげたいという気持ちも理解できますが、あくまで選手の将来のためという、大きな心を持って采配をしてもらいたいと思います。
ps.それぞれのチームで、方針や考え方も違うので一概に良い悪いを決めるのは難しいですが、何か作戦を決める上でそれは自分が勝つためにやりたいことなのか?
選手の将来のためにやることなのか?と、考えることが重要だと思います。