高校野球で勝つためのフィジカルとテクニックの重要性
こんにちは
BASEBALL FUTUREの
依田徹平です。
これまで甲子園常連校になるために必要なステップ、大会実績やスカウトについてご紹介し、前回はチームでの戦術理解についてお伝えをしてきました。今回はスカウトにも重要となる選手育成方針のフィジカル面とテクニック面についてお伝えをしていきます。
勝つための選手育成方針
前回お伝えしたチームでの戦術の共有と浸透はトーナメントを勝ち抜くためにとても重要となります。そして大会でベスト8以上の実績を安定して残すようになるとスカウト活動も有利に働いていくことでしょう。そんな中で選手が最終的に自分の学校を選んでくれるかどうかは選手の育成方針を明確に打ち出すことができるかにかかっていると思います。
例えば分かりやすい例でいえば、プロ野球や大学野球や社会人野球に多くのOB選手が活躍しているので、高校野球に留まらずその先の将来で活躍するための選手育成をしている、ということが選手や保護者の方にしっかりと伝われば、志の高い選手が入部してくれる可能性は高くなるでしょう。
もちろん口先だけにならないように入部してくる選手たちが納得して卒業できるような育成方針が必要です。そこで重要になるのがフィジカル面とテクニック面を3年間でいかに伸ばすことができるかです。
フィジカル面とテクニック面
まずフィジカル面では個々に合わせた柔軟な対応が求められます。身長が伸びきっていない選手に無理なトレーニングをさせてしまうとその選手の将来の芽を摘み取ってしまうかも知れません。また高校野球は毎日の猛練習のため、痩せ型の傾向が強いです。実際私も高校時代は体重が軽く打球もあまり飛びませんでしたが、高校時代よりも10kg近く体重が増えた今の方が打球がよく飛びます。
ではなぜこんなに練習量が多くなるのかというと、やることが多いからです。前回お伝えした戦術理解は攻撃でも守備でも重要となるのでかなりの時間を費やすと思います。ましてや方針が定まっていない場合は闇雲に練習をすることになるので、さらに時間がかかってしまう上に、ゴールもないので終わりが見えません。
それに加えて体力アップや筋力アップのトレーニングを毎日のように行うので必然的に練習時間が長くなり体を鍛えているはずなのに思ったように体重が増えず力がつかないということが起きます。またそれだけでなく連日の猛練習は目に見えない部分で体を消耗してしまうため、球速や飛距離が伸びづらくなるのです。
テクニック面も同様です。戦術を浸透させるための練習や体力アップトレーニング筋力トレーニングに時間が費やされるため、体が長時間の練習に耐え切れるように自然と動きをセーブしてしまうのです。
その結果全力で走る、全力で振るといった習慣がつかず、さらに技術を高めるための時間がないのでただノックを受けて、ただバットを振り、ただボールを投げるだけの時間で3年間が終わってしまうのです。
2・3年生はフィジカルとテクニックを優先
前回勝つための戦術理解として攻撃面でも守備面でもチームの方針を共有し理解・浸透させることが重要だとお伝えしました。こうした戦術理解は1年生の間にやっておくことがお勧めです。もちろん2・3年生になっても忘れないように練習をする必要がありますが、上級生はそれよりもフィジカル面とテクニック面を伸ばすことを優先するべきです。
先ほどもいったように全ての練習をしてしまうと長時間の練習になってしまうため、技術練習をする時間が減り、フィジカル面でもマイナス面が大きいです。そこで上級生は基本的な戦術の理解が一年生の内にできればあとは復習や練習試合での確認程度にして全体練習を減らし、その分技術練習の時間を増やしたり、筋力トレーニングに時間を使ったり、時には軽めの練習で切り上げて体の回復を優先することも良いでしょう。
これによりバッターはどうやったら飛距離を出し打率を高めることができるのか、ピッチャーはどうやったら球速とコントロールを磨くことができるのかを真剣に考えることができるようになります。残念ながら従来の長時間練習では目の前の練習をやり切ること、一日体力を持たせることに頭が回ってしまうため技術的な質を求める練習よりもただ量を求める練習になってしまいます。
技術的な練習が増えることによるメリットはフィジカル面にも現れます。長時間の練習がなくなるので体は無駄な消耗をしなくなり、体重も理想通りに増えていくことでしょう。よく引退して数か月の選手が練習に訪れると、急にとんでもなく飛距離が伸びたり、球速が急激に上がっていることがあります。これは練習量が減ったことで体重が増えベストな状態になっていたり、体の疲労が消えて万全な状態に回復したことにより起こったことといえるでしょう。とわいえ、毎日軽い練習だけでは体も成長していきませんので一週間に2日くらいは適度な負荷を与えることも必要となります。
まとめ
チームとして勝つためそして有望な選手に入部してもらうためにも、メリハリをつけた指導方針が重要です。まずチームとしての戦術を1年生の間に徹底的に覚えてもらい、2,3年生は実戦で戦術を確認しつつ個々のフィジカルやテクニックを磨くことに注力をおく。これにより大事な大会で主力となる2,3年生のコンディションを良い状態に仕上げることができ、さらに高校のその先の野球にも高いスキルで臨むことができます。
なかなか、主力の練習力を減らすことに抵抗はあるかも知れませんが、今までどのチームも練習をしすぎている傾向が強いのでこの機会に思い切って方針を変えてみてはいかがでしょうか?