バッターとして最も持っておきたい能力とは〇〇〇
こんにちは
BASEBALL FUTURE
(ベースボールフューチャー)です。
プレミア12が終了し日本が見事優勝という結果で大会を締めくくりました。今大会日本はプロ野球界のトップレベルの選手で打線を組みましたが、結果が出た選手とそうでなかった選手の差が大きく開いた形となりました。これを単に調子が良かった悪かったで片付けることもできますが、もう少し深く考えていき、そこからバッターとして最も持っておきたい能力とは何かについて考えてみましょう。
目次
バッターとして最も持っておきたい能力
今大会バッティングにおいて大きく印象に残った選手は鈴木選手と浅村選手です。もちろん両者ともに球界を代表するバッターであることは間違いありませんがその他の代表選手も球界を代表するバッターであることは間違い無いでしょう。セ・リーグを制した巨人の坂本選手や丸選手。プロ野球史上初の3度のトリプルスリーを達成したヤクルトの山田選手。その他にも松田選手や吉田選手など各チームで主力の選手がずらりと並んだ豪華な打線です。
鈴木選手と浅村選手の調子が良かったといえばそれまでですが必ずしもそれだけが理由だとは思いません。そこにはこうした短期決戦で活躍する根拠や必然性やバッティングのヒントが隠されていると思います。そしてここから考えて欲しいことはバッターにとってどのような技術が最も欲しい能力なのか?ということです。
短期決戦でこそ分かるバッターの本当の実力
メジャーリーグを中心として日本球界でもデータ野球の流れが強くなり最近ではほとんど全ての選手の苦手なコースや得意なコース、球種、打球方向が分かるようになりました。それと同じようにバッター側も相手の投手の球種や配球の傾向、球速や球質まで試合前にデータとして叩き込み打席に臨むようになってきました。今後もこうした流れは進んでいくことでしょうしそれを否定するつもりもありません。ですがこうした影で失われていくのが単純に「来たボールを打ち返す」という能力です。
こうした国際大会は短期決戦となるため相手投手の情報を全て得ることは難しいでしょう。正確なデータを取るには本来何十試合ものデータを集計する必要があるため今回のような短期決戦においては情報不足となるのは仕方の無いことでしょう。(もちろん条件は相手も同じですが)
しかし、だからといって「情報が無いから打てません」ではプロ野球選手、ましてや日本代表は務まらないことでしょう。初対戦であってもどんなに情報がなくても打席に立てば目の前のピッチャーが投げたボールに反応してヒットもしくは鮮やかなホームランを放つ。それができるのが一流の選手でありこの能力こそバッターとして最も持っておきたい能力であると私は思います。
このことから今回のプレミア12で活躍することができた鈴木選手や浅村選手はこうした「来た球に反応して打つ」能力が高いと言えるのかもしれません。
「対応する」という能力は失われるものなのか?
野球を始めたばかりの少年野球や中学野球であっても、また基本的にはトーナメント方式となる高校野球においても戦う相手は固定されておらずよほどの注目投手では無い限り対戦チームの投手のデータは無いことでしょう。つまり野球を始めた頃から高校野球に到るまで情報が集まらないまま初対戦のピッチャーと対峙しそれに対してヒットを打つということは誰しも当たり前にやってきたことでしょう。
しかし大学野球や社会人野球、プロ野球となるとある程度対戦チームが絞られてくるため相手投手のデータを集めることが可能となります。バッターはあらかじめチームのスコアラーやアナライザーが集めてきたそのデータを頭に入れて打席に立ちます。
こうした流れにより情報が完全につかまれている投手はわかってても打たれないようなボールを投げ無い限り簡単に打ち崩されてしまうことでしょう。それを物語るのがルーキーの最初の活躍です。プロ野球のルーキー投手が登板すると全く情報が無いため、なかなか打ち崩すことができずあっさりと初勝利を献上してしまうということがよくあります。
しかしそうしたルーキーの活躍も長くは続きません。なぜならば試合を重ねるごとにデータが集まり対戦経験も増えることで球質も分かるようになり投手が打たれる確率が高くなってしまうからです。
現代のプロ野球においてこうしたデータを持って打席に立つことは当たり前となっているため逆にデータのない投手と対戦する機会は減ってきていると言えるでしょう。しかしこれにより今まで当たり前にやってきた「来た球を打ち返す」という能力は衰退していくようにも思います。
残念ならが私はプロ野球選手の経験がないため万全のデータを持って打席に立つという経験がありません。そのため本当に「来た球を打ち返す」という能力がなくなっていくのかは分かりませんが、使わない能力は失われていくのが当たり前の原理であると私は思います。
データに耳を傾けない選手もいる
データ野球が主流とはいえ選手の中にはそうしたデータを欲しがらない選手もいるそうです。鈴木選手や浅村選手がそうとは限りませんが、大事な国際大会であってもデータを使うかどうかは選手本人の意識次第であるため矯正することはできません。そうした選手は打席に立って見た投手の情報のみを頼りに体の反応で投手と勝負をします。
2009年の第2回WBCでは日本が連覇を達成しました。その優勝を決めたイチロー選手の決勝タイムリーはあなたも知っていると思います。イチロー選手は大会期間中極度の不振に苦しみましたが、最後の最後で大きな活躍をみせました。
実はあの打席に入る前イチロー選手は「初めて」スコアラーに助言を求めたそうです。そうしてスコアラーからの「シンカー狙い」のアドバイスを見事に生かしてヒットを放ちました。
このことから私が感じたことは「やはりデータが重要だ」ということではありません。私が引っ掛かったのは「初めてスコアラーに助言を求めた」ということです。つまりそれまではある程度自らの感覚や打席での対応力のみで勝負をしてきたということです。WBC決勝の場面では短期決戦の大一番であり自分の状態も考慮し最終的には最後の最後に助言を求める形となりましたが、おそらくメジャーのレギュラーシーズンでもデータに頼り過ぎず自らの対応力のみで勝負をしていたのではないでしょうか?そしてその対応力を磨き続けたことこそが10年連続200安打・3割を達成した要因なのではないでしょうか?
イチロー選手が初めての日本人野手としてメジャーに挑戦をしそれから数多くの野手がメジャーで挑戦をしてきました。しかし未だに打率3割を達成したのはイチロー選手ただ一人です。データの活用はもちろん今後も重要となってきますし、勝敗を大きく分ける要因ではあります。ですが打者として本来目指すべき姿としてデータに縛られ過ぎずに「来た球を打ち返す」という感覚や対応力も備えておいて欲しいと思います。