打撃タイトルとフィジカルの関係【ホームラン王編】
今回は前回に引き続き打撃タイトルとフィジカルの関係性について首位打者編に続いてホームラン王編です。
本塁打王のフィジカルとは?
まずセ・リーグの2000年〜2019年までの本塁打王の傾向は
右打者17人
左打者5人
両打ち0人
平均身長184.4cm
平均体重98.5kg
パ・リーグの2000年〜2019年までの本塁打王は
右打者15人
左打者6
両打ち1人
平均身長181.1cm
平均体重 100.0kg
となっています。
首位打者同様外国人選手を除いて見ると
日本人のホームラン王
セ・リーグ
右打者4人(-13人)
左打者3人(-2人)
両打ち0人
平均身長183.4cm(-1cm)
平均体重93.4kg(-5.1kg)
パ・リーグ
右打者10人(-5人)
左打者4人(-2人)
両打ち0人(-1)
平均身長178.2cm(-4.9cm)
平均体重99.2kg(-0.8g)
このデータを見ると首位打者に左バッターが多いのに比べて本塁打王は右バッターが多いことがわかります。ただしセ・リーグは17人が右打者となっていますが日本人に限ると4人しかおらず右の助っ人外国人が多くタイトルを獲得しているということは考慮しておかなければいけません。
右打者が有利なのか?
では単純に右打者の方がホームランを打ちやすいのかというと一概にそうとは言い切れません。なぜならば球場によって左バッターが有利であったり右バッターが有利であったりするケースが考えられるからです。例えば甲子園は風の影響が大きくレフト方向には打球が伸びていきますがライト方向には打球が伸びないため左バッターがホームランを打つには不利だというデータも出ています。
首位打者の平均値と比較して気になる点は体重です。日本人の首位打者では体重の平均はセ・パともに87kg台でしたが、本塁打王の場合はどちらも90kgを超えておりパ・リーグに至っては99.2kgと100kgに迫る平均値が出ています。そして面白いことにパ・リーグの本塁打王の平均値は178.2cmと意外にも小柄だということです。その要因となっているのはここ20年の本塁打王のうち175cmの中村剛也選手が6度、176cmの山川穂高選手が2度本塁打を獲得していることが挙げられます。
身長が低くてもホームラン王にはなれる?
ではこの二人が例外なだけで基本的には本塁打を量産するには身長が高い方が有利だと思いますか?実はセ・リーグでも村田修一選手が177cmながら本塁打王を2回獲得しているのです。セ・リーグの日本人右打者は20年間で4回本塁打王を獲得していますがそのうちの2回が村田選手なので無視できない数字です。
さらに歴史を遡ってみると歴代最多本塁打の王貞治氏(868本)が176cm,2位の野村克也氏(657本)が175cm,3位の門田博光氏(567本)が170cmとなっており不思議とホームランを量産する選手には170cm台の選手が多くいるのです。
ここからは仮説ですが、もしかしたら本塁打になりやすい角度で打球を飛ばすには170cm台の身長の方が有利なのかもしれません。こうして考えてみると今身長が低いという選手にもホームランバッターになる可能性がみえてくるので是非モチベーションに変えてもらいたいと思います。
ただし注意してもらいたいポイントとして本塁打王の平均体重が多いからといってむやみやたらに体重を増やそうとはしないことです。確かに体重が重いことで打球が飛んでいるように思えますが、体重の増やし方にも種類があり、ただ無理やり食事をすることで体重を増やしても 脂肪がつくだけで意味はなくむしろ成長期の選手にとってはマイナスとなりかねません。
まだ身長が伸びている成長期の選手は食べることも大切ですが体重を重くすることに縛られすぎずにバランス良く食事を取ることで、まずは身長を伸ばすことを優先させましょう。