体の順応作用とは?〜配球の考え〜
こんにちは
BASEBALL FUTURE
(ベースボールフューチャー)です。
人間の体の秘密は、現代の科学の力を持ってしても、その全ては解明されてはいませんが、日々進歩を遂げていることも事実で、様々なことが分かってきています。そうした科学的根拠を元に
野球選手はトレーニングなどを行なっています。その一つに順応という言葉があります。
順応とは、新しい動作などに体が慣れてきて対応してくるという意味です。
筋力トレーニングを例にして考えてみましょう。
筋力トレーニングを行うことにによって、ベンチプレスやスクワットなどで徐々に重い負荷を
かけられるようになっていきます。この時に筋肉がついたと思うかもしれませんが、筋力トレーニング初期において現れるこうした成長は、実は筋肉がついたのではなく、動作を繰り返したことにより、神経系、骨格系、筋系の連携が強まったことで運動効率が増したことが第一義的で、その結果、重いものがあげられるようになるという原理があるのです。
これを神経系の順応効果と言います。つまり人間は繰り返し動作を行えば、それに対応しようとして徐々に反応がよくなってくるようにできているのです。(ただしその動作が正しいものかどうかは別問題ですが)
これを元に野球の打者と投手、そして配球を考えていきましょう。
投手として、このような経験はありませんか?
同じ球種を投げていると、最初は前に飛ばすことができずにファールになってしまっていたが、
粘られているうちに徐々にタイミングがあってきて最終的にヒットを打たれてしまった。
これはまさに体が動作を繰り返したことにより、順応が起き、反応が良くなってきたことが原因と考えられるでしょう。またどんなに良い投手でも打線の一巡目よりも二巡目三巡目の方が抑えるのが難しくなってきます。
これも一度打席に立つことにより、体が投手に順応していき、打ちやすくなってくることが原因と考えられるでしょう。こうした時、簡単に打たせないようにするには、この順応を逆手に取る必要があります。
例えばストレートの反応がよくなってきた相手に対しては、遅い変化球をボールでもいいので続けて投げる。そうすると否が応でも打者の体は遅いために順応するように傾いていきます。
その結果、ストレートを投げると遅い球に順応していたことで、対応が遅れ空振りを取ることができるかもしれません。
こうしたことを考えると、投手の配球はとても面白くなってきます。一試合丸ごと抑えようとするのであれば、そうしたことを考えながら、一巡目、二巡目、三巡目と的を絞らせないような配球の種まきや観察力が求められてくるでしょう。
また指揮する側の作戦とすれば、相手が全ての球種に順応してきたあたりで投手を変えるのも有効となるでしょう。さらにバッター目線からすると、早いカウントからスイングをしていくことが重要になってきます。
それにより、見逃すよりもはるかに体がボールに順応していくので、追い込まれてからでも対応をすることができるようになってくるでしょう。体の順応という作用を知って、プレーにいかしていきましょう。