早生まれは不利?〜誕生日でみる成長速度〜
こんにちは
BASEBALL FUTURE
(ベースボールフューチャー)です。
あなたの誕生日はいつですか?
1年には1月から12月までの12ヶ月があり、日本では4月2日~4月1日までが同学年として扱われます。今年でいうと、2019年4月2日に生まれる子供は、翌年の2020年の4月1日に生まれた子供と同級生ということになります。そうして考えると、1学年といっても最大で364日の差があることとなります。
大人になってしまえば、この差は大した差ではないかもしれませんが、小学生や中学生にとってはどうでしょうか?成長には個人差があるため、一概に生まれた日が早い方が体が大きく、身体能力が高いとは言い切れませんが、平均的に見れば、生まれたのが早い方が体格的にも身体能力的にも有利であることは間違い無いでしょう。
特に小学生や中学生では1学年の差が大きな差となるので、野球をする上でも大きな影響が出てくるのです。なぜこのような話をしているのかというと、知り合いの方からこのような話を聞いたからです。
それはある大学野球の強豪チームの選手の誕生日をみると、そのほとんどが4月~10月までに集中しており、年をまたいだ1月以降となると、非常に人数が少ないという話です。このことから
何を伝えたいかというと、単純に早く生まれた方が有利だということではありません。
確かに小学生や中学生にとっては、ある程度生まれた月が離れていれば身体能力に差が出てしまうでしょう。しかし、そうした体格差は、高校生や大学生となってくると、成長とともに無くなってきます。ではなぜ大学の強豪校の選手は、早く生まれた選手が多いのでしょうか?
その理由はおそらく以下のようなことだと考えられます。
強豪大学に入る選手は、甲子園で活躍した選手や強豪校である高校の選手がほとんどです。
その強豪高校に入る選手はというと、中学生の頃に活躍をし、有名となった選手がスポーツ推薦などで進学するケースが多いです。
ということは、中学生の頃に体格の差から活躍をしやすい早く生まれた選手が野球エリートとして強豪大学まで進学をしていくことに繋がるのです。
プロ野球を見てみてもこの傾向は変わりません。やはり4月から10月ぐらいまでに生まれた選手が多く、それ以降は極端に少なくなっているのです。
では実際に活躍している選手も、早く生まれた選手の方が多いのかというと、実はそういうことはなく、名球会入りをした選手は8月と12月に生まれた選手が一番多く、リーグMVPをみても10月と2月に生まれた選手が一番多くなっているのです。
これは、たまたまかも知れませんが、やはりある程度の体格差の中で同級生と競い合ってきた選手にとって、大学生となり体格が周りに追いついてきた時、一気に選手として花が開く可能性があるのかもしれません。
実際に最近では学生野球の最高峰と呼ばれる東京六大学リーグや東都大学野球リーグ以外の地方大学が全国大会や明治神宮大会で勝つことも多く、大学生がプロ野球からドラフト指名を受ける選手も増えています。そうした選手たちは、高校時代は無名の選手が多いですが、大学生になり、体格的にハンデがなくなったことで一気に選手として全国区の選手になったのでしょう。
ここで2018年のドラフトで指名された選手をみてみましょう。
まず高校生が育成も含めて46人
大学生・社会人が合わせて58人
ドラフト指名を受けました。
下のグラフはそれぞれの生まれた月を表しています。
こうしてみると4月〜10月までに生まれた選手の方が圧倒的に多いことが分かります。
しかし11月〜3月をみてみると、高校生は11人のみだったのに対し、大学生以上はその倍の21人も指名を受けていることが分かりました。
特に早生まれと言われる1月~3月に生まれた選手は、高校生ではわずか5人であったのに対し、
大学生以上の選手は11人も指名を受けており、高校卒業後に急激に成長をしていることが想像できます。
次はドラフト1位の選手に絞って見ていきましょう。
セ・リーグ
広島カープ
51 小園海斗(こぞのかいと)
生年月日:2000年6月7日
経歴:報徳学園高
東京ヤクルトスワローズ
17 清水 昇(しみずのぼる)
生年月日:1996年10月15日
経歴:帝京高-国学院大
巨人
12 高橋優貴(たかはしゆうき)
生年月日:1997年2月1日
経歴:東海大菅生-八戸学院大
横浜DeNAベイスターズ
27 上茶谷大河(かみちゃたにたいが)
生年月日:1996年8月31日
経歴:京都学園高-東洋大(1位)
中日ドラゴンズ
7 根尾 昂(ねおあきら)
生年月日:2000年4月19日
経歴:大阪桐蔭高
阪神タイガース
5 近本光司(ちかもとこうじ)
生年月日:1994年11月9日
経歴:社高-関西学院大-大阪ガス(1位)
パ・リーグ
西武ライオンズ
17 松本航(まつもとわたる)
生年月日:1996年11月28日
経歴:明石商業高-日本体育大
ソフトバンクホークス
20 甲斐野央(かいのひろし)
生年月日:1996年11月16日
経歴:東洋大姫路高-東洋大
日本ハムファイターズ
18 吉田輝星(よしだこうせい)
生年月日:2001年1月12日
経歴:金足農業高
オリックスバッファローズ
31 太田 椋(おおたりょう)
生年月日:2001年2月14日
経歴:天理高
千葉ロッテ
2 藤原恭大(ふじわらきょうた)
生年月日:2000年5月6日
経歴:大阪桐蔭高
楽天ゴールデンイーグルス
7 辰巳涼介(たつみりょうすけ)
生年月日:1996年12月27日
経歴:社高-立命館大
やはり高校生は早く生まれた選手が多く、大学生以上の選手は遅く生まれた選手が多い傾向にあります。もちろん吉田輝星投手のように早生まれであっても、甲子園であれだけの活躍ができる選手もいます。
誕生日から考えると、もしかしたら吉田選手はこれからプロの世界でさらに伸びる可能性を
秘めているかもしれません。
話をまとめます。
まず小学生や中学生の時は相対的に4月など早く生まれた選手が体格的に有利なため、活躍をしやすいです。しかし、それを知らずに油断をしていると、後から周りに追い抜かれてしまうことがあるでしょう。そうならないためにも、常に世代のトップを走り続け、誰にも追い越させないようにする努力が必要です。
また反対に1月以降の誕生日など、同級生と比べても遅く生まれた選手は、最初は体格のハンデに苦しむかもしれません。強豪校に行けなかったり強豪校でレギュラーを取れなかったからといって野球を諦めてしまうのは早計かもしれません。強豪校ではなくても高校・大学と野球を続けていくことで、体も大きくなり、身体能力のハンデがなくなります。
それどころか今まで体格的なハンデを抱えながら、周りと競争をしていた分、多くの技術が身についているはずです。その努力が身を結び、一気に世代の中心となることができるかもしれません。おそらく高校生ぐらいで「通用しなかった」と野球をやめてしまった選手が、大学・社会人と野球を続けていたら、早生まれであっても、もっと多くの選手がドラフトにかかっていたかも知れません。特に遅く生まれた選手は晩成型の可能性があるので、高校から先のステージでも諦めずに野球を続けて欲しいと思います。