新基準バット後初!選抜高校野球大会間近
こんにちは。
BASEBALL FUTUREの小見野剛です。
さて、第96回選抜高等学校野球大会の組み合わせが決まりました。注目の対戦カードから強豪校同士の対戦などもあり、大会が一層盛り上がりそうですね。各校の選手や応援する方々にとっては、熱い戦いが繰り広げられることを期待されるでしょう。大会が進行する中で注目の試合や活躍する選手が現れることを楽しみにしたいと思います。
野球関係者にとっては、新基準バットを使用しての初の選抜高等学校野球大会ということで、その影響がプレーや戦術にどのくらい影響があるかは注目すべき点です。以前にも2022年7月30日掲載『高校野球新基準バットは2024年より 〜メリットとデメリット〜』でも触れていますが、まずは改めてその変更点をおさらいしていきましょう。
新基準バットの変更点
・最大直径の縮小: バットの最大直径が以前の67ミリ未満から64ミリ未満に縮小する。
・低反発の導入: 新基準バットは低反発となっており、ボールに当たった際の反発が以前よりも抑制されている。
これらの変更は、野球における怪我のリスクを低減し、特に投手の肩や肘にかかる負担を軽減することを意図している。
2001年秋にもあったバットの基準変更
バットの規格が変わるのは今回が初めてではありません。2001年のルール改正では、金属バットの重量を900g以上とし、バットの最大直径を67ミリ未満とするなどの変更がありました。下表は過去の選抜高等学校野球大会の本塁打数の変遷です。
1992年にラッキーゾーンが撤廃されてから、本塁打の本数が減少した印象があります。ただし、2002年のバットの規格変更については、それほど影響を感じないというよりは、むしろ本数が増えている印象があります。これは、打撃力向上のために根拠に基づいたトレーニングが普及したことや、バットメーカーが技術革新により性能を向上させたことなどに起因しています。特に、大阪桐蔭高校を含むいくつかの高校が打撃力を強化し、注目を集めるようになりました。
過去の無根拠なバットの振り込みから、ウエイトトレーニングなどで球児たちの筋力が強化され、さらなるバット基準の変更が必要とされるようになり、それが今回の変更につながりました。
2002年社会人野球が金属バットから木製バットに
キューバのリナレス、キンデラン、パチェコのクリーンナップは、当時の野球ファンにとっては非常に印象的な存在でした。彼らの金属バットを用いた打撃は、そのパワーとスイングの美しさで注目され、キューバ代表としての国際大会での活躍は多くの功績をもたらしました。
また、キューバ選手たちがMLBでプレーできなかった背景には政治的な制約があり、その代わりに中日ドラゴンズや社会人野球のシダックスなどでプレーする姿が見られました。特に中日ドラゴンズに加入したリナレス選手は、プロ野球日本シリーズでの活躍も記憶に残ります。
2000年シドニーオリンピックから使用バットが金属から木製に変わると、2002年に社会人野球においても木製バットが導入され、大きな変革をもたらしました。木製バットの使用により、飛距離や打球速度が制約され、試合のスタイルが変化しました。大味な試合が減少する一方で、テクニックや戦術がより重要視されるようになりました。これにより、新たな野球の魅力が発見されることとなりました。
今後のU-18国際大会で結果が出るか
下表は近年のU-18日本代表の戦績です。
こうして見てみると、このメンバーをもってしてもこの順位なのか、という年も珍しくありません。前回大会の2023年は優勝していますが、台湾との決勝戦ではバントや高い走塁技術を活かした馬渕監督の見事な戦術が功を奏しました。しかし、この大会では花巻東高校の佐々木麟太郎選手や広陵高校の真鍋慧選手など世代を代表するスラッガーは代表に選ばれませんでした。それは過去の大会で木製バットが使用される国際大会において、長打力を期待されて選出された選手がなかなか自分本来の実力を発揮しきれなかったことが少なからず影響していると考察します。それだけ選手たちはバッティングにおいて違った感覚や技術を求められ、木製バットに適応することに苦しんできたのです。
新しい規格のバットの導入により、打者は単に筋力強化に焦点を当てるのではなく、ボールに正確にヒットするための技術を向上させる必要があります。近年、投手の平均球速が急速に上昇しており、ツーシームやカットボールなどの微細な変化を活かす投手が増加しています。また、高校野球において二段モーションが認められるようになり、打者はより精密なタイミング合わせの技術を重視される可能性があります。これにより、ボールを的確に捉えるために打者には繊細な技術が求められるでしょう。新しいバット規格によって、今後、日本の野球がどのように進化するか期待していきましょう。